猫ヘモプラズマ症
今回感染症シリーズ第八回。
今回は猫の感染症~猫ヘモプラズマ症~について解説します。
猫ヘモプラズマ症
猫ヘモプラズマ症は赤血球に感染する細菌により貧血を起こす感染症です。
以前はリケッチアに分類されているヘモバルトネラ症と呼ばれていました。
〇 猫ヘルペスウイルス感染症
〇 猫カリシウイルス感染症
〇 猫クラミジア感染症
〇 猫白血病ウイルス感染症
〇 猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症
〇 猫腸コロナウイルス感染症
〇 猫汎白血球減少症
原因は赤血球に感染するマイコプラズマであるヘモプラズマ(Mycoplasma haemofelis/Candidatus Mycoplasma haemominutum)の感染です。
猫の赤血球の表面に感染するグラム陰性細菌であり、以前はリケッチアの一種としてヘモバルトネラと呼ばれていました。
はっきりとした感染経路はわかっていないが、唾液から感染する接触感染、特に猫同士のけんかによる咬傷、また外部寄生虫による吸血によって感染するのではないかと言われています。
どの程度感染しているか調べた疫学調査では1/4程度の猫で感染が確認されました。発症には何かしらの基礎疾患が関与、特に猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスの感染が影響するようです。
まずは元気食欲が低下し発熱の症状が見られます。赤血球表面に細菌が感染するため、赤血球が破壊され溶血性貧血が起きます。それに伴う黄疸、粘膜の蒼白などが主な症状です。
▪ 溶血性貧血
▪ 黄疸
院内の検査では血液塗抹標本を顕微鏡で観察することにより診断します。感染している場合は、赤血球の表面に好塩基性の点が確認されます。
外部の検査センターによって行う、血液のPCR検査によってヘモプラズマを検出することにより確定診断することが可能です。顕微鏡で確認する場合、非常に小さい点であるため、血液塗抹だけで診断に苦慮する場合はPCR検査を併せて行います。
治療はテトラサイクリン系抗生物質の投与が有効な治療法です。また他にニューキノロン系抗生物質も有効性が確認されています。
貧血が重度の場合は輸血が必要なこともあります。
感染経路が不明であるものの、けんかや吸血昆虫が関与している可能性が示唆されており、また基礎疾患に猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスの感染があると発症リスクが上がるため室内飼育することが予防として有効です。
2022年10月25日 6:22 PM | カテゴリー : コラム