犬伝染性肝炎

今回は犬の感染症シリーズ第四回。
犬の感染症~犬伝染性肝炎~について解説します。

犬伝染性肝炎


 

犬の感染症の一つである犬伝染性肝炎は、発熱、鼻水といった風邪のような症状と、嘔吐、下痢といった胃腸症状を示し、進行すると肝炎を起こす子犬で死亡率の高い病気です。
〇 犬ジステンパーウイルス感染症
〇 犬パルボウイルス感染症
〇 犬アデノウイルス2型感染症

〇 原因は?

原因は犬アデノウイルス1型(Canine adenovirusⅠ:CAVⅠ)の感染です。

犬アデノウイルス1型は、感染動物の鼻水などの分泌物、尿や便にウイルスが排出され、感染動物との接触や尿や便を摂取して感染します。

ウイルスは環境中で比較的安定であり、排泄されて数日から数カ月感染力を維持するため、多頭飼育といった環境などの場合は積極的な消毒が必要です。

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〇 症状は?

軽症であれば発熱、鼻水といった風邪のような症状で回復する場合もあります。また嘔吐や下痢といった消化器症状も見られることもあります。

回復がみられず重症化した場合はリンパ節炎、肺炎、肝炎を引き起こします。肝炎があると激し嘔吐や下痢、黄疸、出血傾向による皮膚の点状出血などの症状が起こります。

重症例では死亡することもあり、また感染してすぐに突然死することもあります。

目の症状もあり、角膜浮腫によって目が濁ってみえるブルーアイが確認されることもあります。

▪ 呼吸器症状
▪ 消化器症状
▪ 肺炎
▪ 肝炎

〇 診断は?

一般状態を把握するため、血液検査、レントゲン検査、超音波検査を行います。

外部の検査センターによって行う、ウイルス抗原検査であるPCR検査や抗体検査を組み合わせて診断を確定します。

〇 治療は?

ウイルス自体をなくしてしまう有効な治療法はありません。そのためワクチンなどによる適切な予防が大切です。

治療は症状に併せて対症療法が主体となります。

風邪の症状に対してはネブライザーや、二次感染対策としての抗生物質の投与を行います。

胃腸症状がある場合は、制吐剤や下痢止め、点滴などの治療をします。

肺炎や肝炎がある場合は入院治療による積極的な治療が必要であり、出血傾向がある場合は輸血も考慮します。

 


犬伝染性肝炎はワクチン接種を行うことにより予防できる病気です。特に子犬の時期に感染することが多いため、適切なワクチン接種を行ってください。