犬の僧帽弁閉鎖不全症
今回は犬の僧帽弁閉鎖不全症(MR)について。
僧帽弁閉鎖不全症はシニアの小型犬において
最も多い心臓病です。
僧帽弁は左心房と左心室の間にあり、
心臓の拡張時に開き、収縮時に閉じることにより
血液の心房側への逆流を防いでいます。
僧帽弁閉鎖不全症は
僧帽弁の粘液種様変性により、弁尖の肥厚、
腱索の伸長や断裂を起こし、全身に送られるはずの
血液が左心房に逆流します。
逆流により聴診において心雑音が確認されますが、
初期には目立った症状はありません。
病気が進行することにより心臓の代償機構が
働かなくなり、疲れやすくなる運動不耐性といった
症状がでてきます。
さらに進行すると、心拡大によって気管を圧迫し
咳が出るようになり、左心房と肺でのうっ血が
ひどくなると、肺水腫によって激しい咳と
呼吸困難を引き起こし、命に関わる危険な状態になります。
高齢の犬、猫での咳は単純な風邪などの呼吸器症状
ではないことが多いので、すぐにご相談ください。
2021年2月12日 12:16 PM | カテゴリー : コラム